日時:2019年7月27日(土)10:00~12:00
場所:青山生涯学習館第2学習室
レポーター:村田重章さん
テーマ: The Hundred-Year Marathon
出席:男9名、女7名 (計16名)

レポーター

概要:David Snowdon 博士著作の ” Aging with Grace ” (美しく年老いる)書籍の最終章 “The Hundred-Year Marathon”を輪読しました。全米7つの管区にあるノートルダム修道院の修道女678人を対象に15年間にわたり彼女たちの人生と脳機能、そして老化に伴う多角的な研究を ” Nun Study ” (修道女研究)と銘打って発表したものす。 これはアルツハイマー病の研究に大きな成果をもたらし世界中の研究者から注目されたそうです。米国の国勢調査局によれば、100歳以上の人口が1990年は3万人弱(うち女性が80%)であったものが、2050年予測は53万人に急増する(日本は同時期3,300人から530,000人)そうです。Nun Studyは各人からの聴き取りはもとより、15年間に死亡した117名の脳の検死解剖を行い科学的にも病理学的にも詳細にデーターを蓄積し貴重な資料となったそうです。それによるとアルツハイマー病は発症の20年以上前から始まっていることや、65歳以上の修道女の各年齢での死亡リスクが一般の女性より25%低いこと、同じ修道女の中でも早死にした人と比較して100歳以上の修道女は精神力が高く社会性が優れていることが分かったそうです。特に優秀な100歳以上死亡者の脳の検死解剖では、脳全体の重さはやや平均より少ないものの、海馬の神経細胞の絡み合い組織は平均の3倍もあるのに対し逆に新皮質の細胞絡み合い組織は平均をやや下回ることが判明し、この事実はアルツハイマー病研究に大きな貢献をしたそうです。健康で長寿の秘訣は、年齢による肉体の衰えは避けられないものの、精神的強靭さと自分を取り巻くコミュニティーとの深いかかわりを持つことだそうです。

(8月は夏休みで、次回は9月例会になります。)