9月例会の要旨報告
日時:9月26日(木)
場所:ルーテル東京教会

 1985年にコレステロールの研究でノーベル賞を受けたDr. BrownとDr. Goldsteinはその講演の中で「コレステロールは二面性を持つ分子である。水に溶けないという性質は安定した細胞膜を作るうえで有用であるが、まさにその同じ性質がコレステロールを動脈硬化の原因となる致死性の分子にしている」と述べている。現在の日本では欧米の影響を受けて、その有害な側面のみが強調され過ぎているきらいがあるが、コレステロールが大切な働きをしていることを忘れてはならない。コレステロールは本来、身体に必要なもので、その為に肝臓は食品として口から入る数倍もの量を合成しているのである。従って少しくらいコレステロール値が高いからと言って、やたらと薬(降下剤や阻害剤)を使って下げるべきものではない。例えば降下剤などで強制的に下げようとするから、胆石という副作用を招くのである。

では実際に(1)コレステロールはどんなもので体内ではどんな働きをしているのか?(2)肝臓で合成される悪玉(LDL)や善玉(HDL)と呼ばれるコレステロールの役割に違いはあるのか?(3)そもそも60代以上の高齢者においてコレステロール値はどの位が妥当なのか?(4)コレステロールが高い時、これと上手に付き合っていくにはどうしたらよいのか?などを中心にお話しした。また動脈硬化が起こる仕組みには活性酸素(電子ドロボー)が介在する。このドロボー対策には抗酸化物質(別名 スカベンジャー)が有効だが、次にお話しするガン予防にも共通するのでそこで詳しくお話ししよう。

以上