11月例会の要旨報告
日時:11月28日(木)
場所:東京ルーテル教会

人の一生を赤々と燃えている1本のろうそくの火にたとえてみると、生命の火は遺伝子(ろうそくの芯)を中心して赤々と燃えようとしているのに対して、活性酸素はその火に揺らぎを起こし生命の火を消すように働いているように思われる。
(1)活性酸素はエネルギーづくりに伴って生体内に必然的に生じてくる酸素の変わり者でSO(スーパーオキサイド)と呼ばれる。使われた酸素の2%が活性酸素になるといわれている。SOは強い酸化力を持ち生体の分子から電子を引き抜くという毒性を持っている。従って生体はこれに対抗するためにSOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)という酵素を持ちこれを打ち消している。活性酸素にはこの他にもSOから派生してくる過酸化水素(H2O2)やヒドロキシルラジカル(・OH)等いろいろあり、いずれも生体の分子から電子を引き抜いて傷害するので電子ドロボーというニックネームを賜っている。
(2)活性酸素はこのように生体をキズつけガンや成人病また老化の原因にもなっているので、悪玉といえる。けれどもウイルスや細菌が侵入してきたとき白血球がやっつける時の武器としても使われているので、一概に悪玉とも言い切れない。いわば善と悪という側面を持つもろ刃の剣ともいえもので、これが活性酸素を複雑なものにしている。。
(3)呼吸に伴って生じてくる2%の活性酸素は細胞を傷害し、そのままでは生体の合目的性を保つことはできない。このため生体はSODという除去酵素を生み出してこれに対抗しているのであるが、これは40代以降はだんだんと弱まってくる。従って活性酸素除去物質といわれるビタミン類(A、B2、C、E)やカロチノイド、ポリフェノール(認知症の予防で前述)などの食品群にも目を向けて積極的に摂取していくことが必要となる。