1月例会の要旨報告(予知)
日時:1月23日(木)
場所:東京ルーテル教会

タンパク質の良質度は点数であらわされ100点のものが最高でプロテインスコア100(PS100)であらわす。日常食品にはPS100のもの(卵)もあれば80、70、60、50(豆腐)といろいろあるが、良質タンパクの質を問うときはPS100のものに換算する。分子栄養学は「高タンパク食」を推奨しているが、それはPS100に換算したタンパクを体重の1000分の1取ることである。従ってPS50のものでまかなうとすればその量は体重の1000分の2取らなくてはならない。

「良質タンパク」とは遺伝子の需要に全て答えられるタンパク質(PS100)のことで、日常食品では卵くらいである。60gの卵1個で良質タンパクが7gとれる。従って体重70Kgの人であれば1日に卵10個食べれば良質タンパク70gが取れるが、これではオーバーカロリーとなって問題(自己免疫など)が発生する。PS100に換算した良質のタンパクでも体重の1000分の1以下しかとらない場合は、「低タンパク食」という。低タンパク食が続いて低タンパク症に陥ると腎不全をはじめとして、脳卒中や高血圧等いろんな問題を引き起こす。

体の組織ではいつも代謝回転(異化、同化)があり、つくりかえている。プロテインの点数の低いものばかりで品揃えしていると、新しいアミノ酸が不足し遺伝子の需要に答えられない場合が出てくる。その場合遺伝子は代謝で生じたゴミのついた「古いアミノ酸」に手を出してくるであろう。(これを修飾アミノ酸という。例、Glu-Ca、OH基、PO3など)そのように考えないと低タンパク食の人の生命を説明できない。

「高タンパク食」をとっている人の肌は色つやがよいと いわれる。それはキズもののアミノ酸を使ってないからであろう。皮膚だけではなく肝臓や脳や筋肉でもタンパク質を作るときにアミノ酸のキズものを使ってるんではないか。キズもののアミノ酸を使わないためには新しいタンパク質を体重の1000分の1とらなくてはならないであろう。皮膚のようなところだと修飾されたアミノ酸がくっついていたって良いが修飾されては困るものが一杯ある。

人間が持っているタンパク質は10万種類といわれているが、その「大部分は酵素」である。高タンパク食をやるときビタミンが不足するとまずいと言われる(タンパク質の学会、シンポジウム)。せっかく高タンパク食をとって酵素を作っても協同因子(ビタミン)がない場合、またあってもうまく結合しなければ酵素はすぐに壊れてしまう。従ってビタミンはタンパク質と一緒にとるというのが通例となっている。ビタミンは酵素のポケットに結合するが、ポケットの形はDNAのアミノ酸のつながり方によって違ってくるわけで人により異なっている。結合しにくい場合にはビタミンの数を多くすればよいというのが分子栄養学の考え方である。ポケットの形が非常にうまくできている人の場合ビタミンの量は少なくて済むが(そういう人は非常に少なくて1万人に1人くらい)、タンパクが少なくて済む人はどこにもいない。

体内では足りないアミノ酸がある一方で、「余ったアミノ酸」が出てくる。余ったアミノ酸は腎臓で分解され最後に尿素Nが出てくる。「尿素N」が血中にたまってくると「尿毒症」になる。腎臓が消耗してその機能が60%以下になると「腎不全」になる。機能が10%以下になると末期と言われ「人工透析の導入」となる。非良質のタンパク食品にかたよるとこのようなリスクも生じてくる。