日            時:2021年7月24日(土) 10:00~12:00
場            所:各自宅
ZOOM HOST:宮尾 賢さん
レポーター    :高橋嗣雄
テ  ー  マ      :新型コロナウィルス・ワクチンに生かされた孤高の女性科学者の30余年に及ぶ”mRNA”一筋の研究
配 布 資 料    :
① Kati Kariko Helped Shield the World From the Coronavirus
② メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンを分かりやすく解説
③ The story of mRNA: How a once dismissed idea became a leading technology in the Covid vaccine race
参   加    者   :14名 (男7名、女7名)+オブザーバー1名(中林さん)
概        要

レポーター

目下喫緊の課題である新型コロナウィルス・ワクチンを取り上げました。従来のワクチンは①生ワクチン、②不活性化ワクチンでしたが、今回はこれに加えて、③ウィルスの遺伝子情報をワクチンとして摂取し、それに基づいて体内で免疫ができいざ本当のウィルスが体内に入ってきた時は撃退して感染から体を守るという全く新しいタイプのワクチンです。これにはメッセンジャーRNA(mRNA)という物質が大きく関わっており、この研究だけに30余年費やした女性科学者についてピューリッツァー賞候補に2度もなった記者が著わした記事(配布資料①)を当日の輪読資料にしました。主人公はハンガリア生まれの女性”Katalin Kariko”で結婚後20歳代で米国ペンシルベニアに移住しmRNAの研究に没頭し現在66歳です。COVIDー19の全世界蔓延の現在でこそ最も注目されているmRNAですが、30余年前はあまりにも時代を先取りしすぎていて、彼女の研究は全く日の目を見ず、所属の研究室も教授が転出するたびに路頭に迷い拾ってくれる研究室に縋りつくようなことを繰り返し、いわば研究室を渡り歩く存在で、学会の階層では何時までも最底辺に留め置かれる存在でした。研究費の申請も却下の繰り返しでした。しかし彼女の研究の質は高く、超一流の教授たちと次々と協同研究するようになって行きます。彼女と協同研究した学者たちは5年ほど前に今話題のモデルナやファイザーと提携したビオンテックを設立しmRNAの実用化に取り組み、中国武漢で新型コロナウィルスが蔓延した時は既にmRNAの技術が確立されていて、中国技術者がCOVID-19の遺伝子情報を発表した時は、この記事によればファイザー/ビオンテックは数時間で、モデルナは2日でワクチンが完成したといっています。勿論実用化には有効性や安全性の十分なデーター収集や、食品衛生局の認可が降りるまでの時間は必要でしょうけれど、従来タイプのワクチンが実用化に数年かかるのと比べたら極端に短期間で且つ効果の高いワクチンが実現したのは主人公のKatalin Karikoの30年にわたる孤高の研究あればこそといえるでしょう。
尚、特記事項として当日オブザーバーとして中林さんがZOOMに参加して下さいました。

参加者全員