山本代表メッセージ

Dear CHAMP Members and Members to be:

2020年は思いがけない展開の年となりましたが、お元気にお過ごしでしょうか?!
4月16日の緊急事態宣言以来、外出自粛や在宅勤務の定着化など、現代生活が大きく変化した半年でした。今年残り2ヶ月という今、コロナ禍の第二波が世界を襲っています。
1918~20年のスペイン風邪後100年振りというこのパンデミックにいかに打ち勝つか、世界各国が試行錯誤しています。感染予防と経済復興というジレンマ、一見相容れないこの二つの目標を達成するための闘いです。
私はこのパンデミックは人類が21世紀を生き残り、22世紀に進むための試金石と捉えています。日本の昔ながらのことわざを引用すれば、「禍を転じて福とする」機会だと思います。
何故なら、現代の物欲社会の価値観が継続すると、利権拡大のために人間同士が争う第三次世界大戦が遅からず起こると危惧されるからです。
コロナ禍は「自国ファースト」思想を助長したように思います。
残念ながらその引き金はアメリカのトランプ大統領にありました。でも何故トランプ大統領の人気・支持は衰えないのでしょうか? 9月29日(火)の第1回大統領討論会のひどい
やりとりはまことに呆れる内容だったにも拘わらず、トランプ大統領の支持率はその後低下していません。皆さんは何故だと思われますか? 私は、その原因は人間の心の底にくすぶる現代生活に対する不満と怒りをトランプ氏が代弁している、と多くの人が共鳴するからだと思います。
自国ファースト主義が世界的風潮になった背景には、トランプ的思考がアメリカだけでなく、世界の人達の多くが共有する人間のエゴの具現化にあるように思えます。コロナ禍の恐怖と不況は、この不安な心境を増幅しているようです。人間は強い者には主ねき、弱い者には威圧する性分を持っています。コロナ禍によるパンデミックは、こういう人間の脆さを直撃しているのではないでしょうか。

コロナ禍の世界を思う時:
されど人類はこれまで何度も感染症パンデミックを克服してきました。人の移動が自在になる前に、ペスト(14世紀)や天然痘(16世紀)が億単位の人命を奪いました。そして100年前のスペイン風邪でも同様です。それでも人類は生き延びました。10月に発行されたYuval Noah Harari著「緊急提言 パンデミック」序文で同氏は、“私たちが直面している最大の危険はウィルスではなく、人類が内に抱えた魔物たち、すなわち、憎悪と強欲と無知だ。”と述べています(訳者:柴田裕之 シバタ・ヤスシ)。
今私達が試されているのは、コロナ禍の不安に立ち向かう術を賢く選ぶことだと思います。
グローバル化した技術の現代だからこそ、より効果的にできる国際的な協力だと信じます。
コロナウィルス感染症を克服するには、ハラリ氏も指摘するように、科学と科学者、国同士の信頼と国際協力が不可欠です。誰もが判るように、感染症は1国の力だけで打ち勝てるものではありません。ましてや経済回復を達成するには、国相互の感染予防対策の合意と実践が必須です。これは実現可能な方策です。
前号で私は2020年を≪コロナ戦争元年≫と名付けました。この闘いは向こう数年続くかも
知れませんが、世界協力と助け合いの精神と政策があれば、必ず克服できると信じています。

10月24日(土)チャンプ初ZOOM例会は、多くの会員参加で楽しい「アートフェス」に
なりました。参加者各位とZOOM例会をホストして下さった宮尾運営委員に深謝です!
関東での年末年始の忘年会・新年会はしばらく様子を見てから、来年春にでも再会を期すことに致しましょう。 関西チャンプでは今年初&最後の例会兼忘年会を11月17日火曜日夕、芦屋で開催します(10頁ご参照下さい)。 皆様のご健康と安全を心からお祈りします。

Stay well and best wishes,

CHAMP代表 山本儀子 Noriko Yamamoto

第79回チャンプ ZOOM 例会報告 10月24日(土)13時~15時

今回の例会は3密を避けるために初めてZOOMを使用したオンラインミーティングとして開催された。宮尾さんがホストをしてくださり、13時開会予定で、45分前から順次入場を開始した。画像が出ないとか、音声が出ないとか、といったトラブルを携帯電話のやりとりで調整をして13時には30人近くが入場して開会することができた。例会は以下のプログラムで進められた。
① 安斉洋一運営委員長の開会あいさつ
② 山本儀子代表の「アメリカよもやま話」
③ チャンプ会員のアートプレゼンテーション
3-1:稲上義之さん「私の最近の陶芸作品」
3-2:加納義久さん「水彩画の楽しみ」
3-3:畑京子さん「抽象絵画の楽しみ」
3-4:辻嘉和さん「街の賑わいを水彩画に」
3-5:手島達夫さん「デコイ作りは楽し」
3-6:奥田美代子さん「薩摩琵琶の演奏」
④ 各活動部会報告
大きなトラブルは無く無事オンライン例会は終了できた。表紙の写真はZOOM参加者の画面であるが述べ参加者は34名で画面表示には限りがあるので全員は移っておらず残りはPCで次画面を出せば見ることができるようになっている。今回は関西の3人を含めて6人の芸術プレゼンテーションが行われたが、これはオンラインだからこそ可能になったわけでオンラインのプラス面といえるだろう。一方でプレゼンターとの質疑応答はやや難しいというのが課題といえる。いずれにしてもプレゼンテーションは十分楽しめたのでチャンプのひとつの新たな方向性が示されたといえる。今後、会員の高齢化などで全員が例会に集まることが難しくなることも予想されるのでオンラインミーティングという手段は重要になるだろう。

アメリカよもやま話

山本儀子

1.新型コロナウィルス感染の第二波が収まらない:
10/24現在米国では死者22.3万人(7/11時13.6万人)、感染者850万人(同329万人)、世界での死者114万人(同56万人)・感染者4,200万人(同1,261万人)。第二波は各国で蔓延している。(米国人口は世界の4.2%)

2. アメリカの分断と格差の拡大、多様性への不寛容:
トランプ大統領とコロナ禍が浮き彫りにしたアメリカの分断は、人種・宗教・
所得の格差に起因している。多様性と自由を象徴し尊びた古き佳きアメリカが、今や人種差別・宗教と考え方の違いを否認・所得の格差を広げている。
且て、所得中間層が60%であったのが今や30%に半減し、上位層は20%に倍増、低所得層の急増が著しい。トランプ氏の「自国ファースト」「自己主義」は、不満層の〈怒り〉〈欲求不満〉を煽る傾向を強めると同時に人気は高い。9月失業率7.9% (5ヶ月連続改善)。4月は統計史上最悪の14.7%だった。

3. 大統領選の行方は?:
10/22現在、Real Clear Politicsによると、Trump大統領の支持率は42.8%,民主党候補Biden氏は50.7% だが、10日後(11/03火曜日)の結果は未だに不透明である。その理由は幾つか挙げられる。
① 所謂「かくれトランプ」支持者の数、
② コロナ禍で増加している「郵便投票」の行方である。郵便投票する人達は民主党支持者の低所得者が多く、Biden支持が期待されている。だが、、。
③ 最も大きな要素は、Trump氏自身のパーソナリティー(あえて言えば、カリスマ性)に対するBiden氏の魅力・リーダー像の欠如かも知れない。

Presidential Debates:
① 9/29火曜日第1回は、まことにひどい討論会となった。「討論」すら無い、お互いの非難合戦、Trump氏の討論ルールを無視した言いたい放題の態度で、Biden氏もつられてしまい、レベルの低い内容となった。
② 10/15木曜日第2回は、コロナ禍のために主催者がオンライン討論会を提案したが、Trump氏が拒否して中止となった。
③ 10/22木曜日第3回は、まともな討論会となったが、内容的には新しさに欠け、ややBiden氏が点数を挙げた感だ。Ex. コロナ対策・ヘルスケア・失業率と経済回復・人種差別と警察対応・移民・選挙後、etc.

Vice Presidential Debate:
10/07水曜日;副大統領とKamara Harris候補は落ち着いた討論を展開。
どちらかが圧倒的に優勢というものではなかった。Harris氏の発言は意外に大人しかったと感じたが、自分が黒人で女性であることから強く出て反感を買うことを避けたのだろう。米国は女性に対する政治的偏見が結構強く、そのためにこれまで女性の大統領が誕生していない。

私は19歳で米国の大学に留学して以来52年間を米国で過ごし、米国大好き人間であるが、最近の米国の指導者の在り方には疑問を感じる。リーダーシップとは何だろうと考えると「国民に希望、勇気、おもいやり、感謝などを与えてくれる力」ではないか。それを実現するためには「説得力」を備えていることが求められる。バイデン氏と比べるとトランプ氏の方が人にアピールする「説得力」があるように見えてしまう。しかし、経済、軍事優先の自国ファーストが今後も進展すれば、米国にとっても、世界にとってもマイナスになるのではないか、ということが今の私の懸念である。

会員によるアートプレゼンテーション

以下は例会のZOOM画面を利用して行われた5人の会員の作品紹介と1名の琵琶演奏の概要です。

稲上義之 「私の最近の陶芸作品」

定年後に陶芸を始めて10数年になります。最初は食器類を中心に作り、個展も3回やりましたが、食器が溜まりすぎるので、最近は彫刻的な作品に取り組んでいます。ここで紹介するのは近作で、ルネ・ラリックのオマージュとしてのカーマスコットや、実際に使われる志野焼や朝鮮唐津焼のトルソー型ランプスタンドです。

加納義久 「水彩画の楽しみ」

絵を描き始めて50年程になりますが、新美術協会というところに属して100号ほどの大きさの絵を沢山描かされました。作品を残すのがいやだったので同じキャンバスに何回も上書きをしていました。10年ほど前から透明水彩画に変わりましたのでご紹介するのはその作品です。「垂らし込み」の技法などをいろいろ工夫しています。自粛期間中は近隣をくまなく見て回り、絵に専念できて幸せでした。

畑 京子 「抽象画の楽しみ」

年に何回か美術展に出品していますが100号ほどの絵も描くし、小さな絵も描きます。抽象画を主にしていますが半具象もあり、また色としては自分なりの「青~藍」を追求しています。最初の「春」という絵は16×23cmの小さな絵で、他はもっと大きな絵です。「紫陽花」は私の目指す色がかなり出せたように思います。

辻 嘉和 「街の賑わいを水彩画に」

私は以前は油絵を描いていましたが最近はガッシュ(不透明水彩)を使っています。テーマは「賑わいのある街」で大阪を中心に街を歩き、現場で細い和筆でデッサン的にスケッチを描いておいて、帰ってからガッシュで色付けをします。大きさは20号~30号程度が中心です。

手島達夫 「デコイ作りは楽し」

アメリカの雑誌で民芸としてのデコイの記事を読んで興味を持ち、雑誌を取り寄せたりして作り始めました。デコイは米国でカモ猟などの囮として使われたのですが、それが民芸として発展したのです。最初は雑誌の付録の型紙を利用しましたが、いまは自分でも型紙を設計していろいろなものを作ります。私の作ったカモのデコイ、鳥、フクロウ、ハートの他工具なども紹介します。

奥田美代子 「薩摩琵琶の演奏」

これから薩摩琵琶で「花の行方」という曲を演奏します。新しく作られた曲ですが源氏物語や平家物語の中の愛を含めて、普遍的な愛の行方を弦のみの演奏で表現した曲です。特徴の一つに曲の中に演奏者が自由に弾いたり歌ったりできる部分があり、私も自分の歌を入れました。薩摩琵琶は中近東が発祥の地で薩摩に伝わり武士のたしなみとして取り入れられました。私は20年程前、ニューヨークに駐在していた時に日本大使館で薩摩琵琶の演奏を聴いてとりこになり、帰国してから先生を探して習いました。しかし先生も少なく半分は独学です。この琵琶は京都の骨董店で偶然見つけたもので漆塗に片輪車紋の蒔絵がある貴重な楽器で、奇跡的に手に入りました。撥は柘植の一枚板で余程大きい柘植の木でなければ作れないものです。撥が大きいので強い音や胴をたたいて激しい音を出せるのも特徴です。

活動報告他

英語を共に学ぶ会活動報告

2020年1月例会(第222回)を最後に新型コロナウィルス感染拡大のため、2月例会以降準備していた例会を中止しました。5月連休明けに感染状況も下降を続け、政府の緊急事態宣伝解除を受け活動の再開をメンバーにアンケートしたところ、再開を支持する積極意見が多かったため場所の確保ができる6月から通常通りの例会を再開しました。実際に開催して見たら思いのほか参加者数が少なく、折しも6月下旬は感染が再拡大し出していて、再度メンバーに再開につて意見聴取したところ遠隔ミーティングの意見がかなりあり、ZOOM ミーティングでの開催をやってみることにしました。ZOOMの練習を一度挟んで7月例会の本番をZOOMでやったところほぼ全員近くの参加を得て結果も上々で8月以降ZOOMで行い10月24日(土)に第227回を終えたところです。各回の具体的内容はチャンプホームページの活動会から英語を共に学ぶ会の「最近の情報はこちらから」をクリックしてご覧ください。    (高橋記)

初めてのエイジシュート 森田宏次

ゴルフのエイジ シュートは自分と同じかまたは下回るスコアーで18ホールをプレーすることです。
50年間飽きもせずクラブを握り続けて数えきれない程プレー回数を重ねてきましたが80歳になった今年の10月、所属する嵐山カントリー倶楽部の70歳以上の大会において80でまわりやっと人生初めてのエイジ シュートを達成することが出来ました。
今まですぐにでも達成できる筈と思ってやって来ましたがなんのなんのゴルフとてそんなに甘いものではありません。あとone strokeで達成というチャンスは何回かありましたが力不足なのかどうしても達成できなかったのでそれなりに感激しています。

祝 90歳の誕生日 上野輝彌様

輝彌1930年9月29日生まれで、先月90歳になりました。結婚して間もなく姑から「上野家の男性は早死に」と告げられ、びっくり。以来、食生活上の配慮は勿論、仕事上もストレスの少ない日々を願ってきましたが、90の坂を越えたのでとても嬉しく、感謝です。チャンプの方々との20余年も大きな支えになっています!チャンプの方々への感謝は田鶴子も同様!異業種の方々との出会いで人生がとても豊かになりました!!(上野田鶴子 記)

 

 

会員消息 自粛生活よもやま話(その2)

トイレットペーパー狂騒曲 樋口 功

チャンプの皆さまいつもお世話になりありがとうございます。
新型コロナ禍でのあんしんトイレットペーパー狂騒曲ドキュメントを送ります。
NPO法人支援センターあんしん会長 樋口功
それは令和2年2月28日(金)朝一本の電話から始まった。「お店に行ったらトイレットペーパーが一つもなかったんです、なんとかゆずってもらえませんか?」
テレビ放送でSNSのデマで店頭からトイレットペーパーがなくなっているとの報道が確か2月25日夕方あったのは聞いていたが、まさかこの田舎の十日町でも同じことが起きるとは想像すらしていなかったのでこの報告を聞いて驚いた。
それから数時間後には事務所の電話が鳴り続ける事態となった。さらに28日午後にはインターネットによるトイレットペーパー受注が徐々に増え始めてきた。
この異常事態に急遽電話による幹部の打ち合わせ会が行われて、2月29日(土)、1日(日)の電話受注体制を休日返上で行うことに決めた。
2月29日(土)
しかし、翌1日土曜日朝の電話対応が始まったらお客様が「休み明けの配達を待っていられない」と、「これから受け取りに行きたい」との要望が出て他の社員に連絡、窓口対応をすることになる。さらに在庫がどんどん掃けるようになり「仕掛品の包装が必要」との現場からの要請で出勤可能な職員、利用者、ボランティアなどに声をかけたところ総勢20数名の協力を得て緊急体制をとることになった。
この間、テレビなどマスコミは国民に「冷静な対応」を求める報道を繰り返して求めていたが、あんしんの事務所では受注のパニック状態が収まることなく続いていた。
お客様の中には工場に直接買い求めに立ち寄った方も多く、その間同じようにトイレットペーパーを買い求めに来た一人のHさんは現場の騒乱状況をみて「私にできることがあれば」とありがたいことにお手伝いを買って出てくれた。
3月1日(日)
この騒乱がちょうど月初めと重なったのでラッキーなこともあった。それは月初めはいつも定期購入客への配達日となっているのでその準備として在庫がピークとなっていたことや、コロナウイルスのため小中学校が一斉休校になり、スクールバスの運転手さんが空いた状況で配達員として活動できる状況だったのが幸いして対応できたことであった。
しかし、何よりもありがたかったのは職員、利用者、ボランティアなど皆さんがこの緊急事態に一致協力して「お客様のご要望に何とかしてやりたい」と進んで休日返上で協力してくれたことである。
「東京にいる娘のところに送りたい」「少しでいいので何とかしてもらいた」など悲痛な声に「何とかしてやりたい」と利用者・職員皆が心を一つに頑張った姿は心に刻んでおきたいと思う。

コロナと共に 木下正二郎

一人や家族だけでは生活できない人間の生活。
縄文弥生の時代から、集まって分業して快適な生活状況を作り、その上に文化を楽しむ生活をしている所にコロナが来た。
非常事態宣言下でも仕事も続けられたが、会合や飲み会は全て無くなり、平和な生活になりました。

さて、60歳で始めた茶の湯の道。南北朝時代に婆娑羅大名が目をつけ、茶のカフェインで今の何倍もの覚醒で、ギャンブル闘茶や淋汗茶の湯を行ったのが九間。(3間四方18畳)10人前後で行ったとある。
その後、足利義政の銀閣寺東求堂を経て、珠光、紹鷗の4畳半の茶室で侘びが生まれる。
利休に至って2人~3人で回し飲みの2畳へと到達する。
正に3密、密集・密閉・密接をつくった。
その後、古田織部の広い多窓茶室、小堀達州のきれい寂へと続いて日本独自の和風文化が始まった。
喫茶店、レストラン、居酒屋のない時代に人が集まって話をする有様をつくったのが茶道なら何か解決策がないか。
風通しの良い東屋で心静かに語り合う一期一会を楽しむ。
気密性重視の住宅から、風の流れる空間が好まれるのかなと思っています。

・・・想うこと三連・・・ 浅野 静

≪新型コロナ≫
「ハンカチ忘れてもマスク忘れるな」、地球規模の大変なご時勢である。新型コロナウィルスに
翻弄され、世界経済に大きな打撃を与えている。これから先も自然破壊や永久凍土の凍解で浮遊するであろう未知の多様なウィルスに感染することは避けられないかも知れない。
その度に人間の英知で戦いつ続けるのだろうけど、簡単に勝てる相手ではない事は、これまでの感染史からも誰もが知るところである。環境破壊は人間の努力で止められるでしょう。
自然との共存シナリオを真剣に構築する時期にあり,現世の生活スタイルが悩ましい結果をもたらしているのも確かであろう。〝がんばろう!〝

≪大 学≫
二十数年間、建築学の非常勤講師としてお世話になった京都精華大学を退職した。
教え子たちは子や孫を持ち、過年の早さにショックを受けるが、多くの想い出が回想する。
加齢を自覚せざるを得ない寂しさもある。街中で卒業生と偶然会うことがある。
大学時代のトークはお互いに盛り上がり一時のタイムスリップに幸福感を味わえるのである。
幾つになっても実現可能な身近な目標を持ち、気力の維持に努めている・・かな?

≪仕 事≫
空き家対策特別措置法が完全施行(平成27年5月26日)してから5年余が経つ。
830万余の空き家があり、7戸に1戸が未使用空き家状態である。増え続ける未使用住居に
地元の神戸市役所も本腰を入れ、空き家対策課を設置し、空室の有効活用に我々との
コラボレーションを呼びかけている。昨今、私の仕事の大半も空き家対策に鑑み、リノベーションが多い。中でもビルの空き室は深刻である。空き室の多い老朽ビルでの活用では耐震補強の
有無や用途変更など、改修後のビルの有効性を確認しながら、積極的に提案している。

かな書の嗜み 辻 嘉和

退職後、時間潰しに始めたものに水彩画があります。現在も飽きることなく続いています。他に20年来続けているものに、かな書があります。書といえば漢字書が中心ですが、かな書も最近では書道界ではかなりの力を占めています。CHAMPの会員の中にもかな書を嗜んでおられる方も居られるのではないでしょうか。その方には私の話はたわいないものですがお許し願います。私がかな書を始めたきっかけは、住まいする宇治の熟年者のための教養クラブに入り、そのクラブのお手伝いをする内、指導者の先生が高齢のためにお辞めになり、代わりの先生が見つからず、私が代わりをする破目となり20年、月1回クラブのリーダーとして続けてきたものです。正式に書の先生に伝授を受けたものではありません。私の書の先生はかな文字が完成、洗練を見た平安時代の10世紀中頃から12世紀末までの今に残るかなの古筆が先生です。
かな書の特徴はいくつかありますが、一つは47文字の他に変体仮名といわれる文字(漢字の草書体をさらに崩したかな文字)を駆使します。それにより文字の並びに大小の変化ができます。この変体仮名は100強あります。漢字は雪、月、花など特別な字以外は原則使いません。更に一字一字離すのでなく、いくつかの文字を続け書きします。(連綿と言います)それにより文字の流れるような線の美しさが出ます。更に、墨の濃淡を活かします。これこそ、漢字書にないかな書の特徴といえます。(漢字書のように綺麗に行書きするのでなく)加えて懐紙や色紙、短冊の色や模様を活かし、更に余白を活かすように文字を自由に配置することにより、一層かな書の美しさが強調されます。(散らし書き)
平安時代の王朝人が和歌や、恋文に鋭い神経をめぐらせて辿り着いたのがかな書です。私は日本の作り出した美の中の最高のものだと思っています。唯、私が学ぶのは、かなの古筆を再現するのでなく我々の日常使う、現代の漢字かな交じり文に、古筆を学ぶことで、新しく美しい文章の表現に活かすことができると思うからです。そのためにはやはり、日本文は毛筆でなくとも硬筆であっても縦書きすることが最適といえます。
かな書の特徴をかなり端折りましたので、詳しくない方にはお解りいただけなかったかと思います。CHAMPでかな書の仲間が出来れば思っています。

Stay homeの3ヶ月半 岡田優

「町家をトーク」という京町家に関係する職人さんら(大工、左官、瓦葺、畳、京表具、材木、竹材、庭師、石工、そして住まい手など)の技術や知識、文化を学ぶ勉強会が2000年から毎年続けられていて2007年からは私が引き継いで、現在に至っている。これは“老若男女誰でも参加できる、スライドや、材料、道具、技そのものなどを直に見せて頂き、触れて、聴いて、質問も自由にできる気さくな勉強会”を心掛けている。
今年度も5月から隔月開講すべく準備を進めていた矢先、4月7日には新型コロナ緊急事態宣言も発せられ、一旦は中止せざるを得なくなってしまった。
以降、この計画を年度後半の毎月開催に圧縮してウィズコロナの対策を取って再スタートする事になる10月までの間、Stay homeで我が家の猫の額ほどの「表庭」の改修~日々の手入れと、三密を避けてのウォーキング+スーパー通いで体調維持を図る破目になった。
ウィズコロナ~アフターコロナの「新生活様式」を!といわれるが、三密を避け、マスクと手指消毒をし、フィジカル・ディスタンスを確保する行動様式がそれだろうか?
私は新しい価値観を背景とした新しいライフスタイルを「新生活様式」と呼びたいと思う。これまでにも新生活様式への転換を予感した契機は幾つかあった-オイルショック、急成長バブルとその崩壊、阪神淡路~東日本大震災など。しかし毎回何とか乗り切ると“喉元過ぎれば熱さを忘れる”“元の木阿弥”の感がある。

先日、ジャック・アタリ氏を招き米倉誠一郎氏、隈研吾氏、内田和成氏3人を交えたZOOM国際シンポジウム『ウィズコロナ時代の“街・人・世界”を読み解く』があり、Stay homeには丁度良いと参加した。…“利他主義”、“三方良し”、“命の経済”~ポジティブ社会へ。
今回このコロナ禍を契機に、未来へ向け日本人の生活様式はどの様に変わるだろうか。

初めてづくしのコロナの時代  増井孝子

今まで一体誰がこんな状況になることを予想したでしょうか?
新型コロナウイルスの出現以来、本当に生活が一変してしまいました。
ラジオなどで喋ることを主な生業としてきた私にとっても、殆ど全ての行事や催し物、コンサートやコンクールなどが中止や延期となり、ラジオの番組も電話やラインでのリモート出演になったり、スタジオの中には、アクリルのパネルを立ててパーソナルスペースを確保し、感染防止に努めたり・・・。
番組の中で、映画を紹介するコーナーがあるのですが、ほぼすべての映画館が2か月間クローズ、新作映画の劇場公開が出来ないという異常事態で、紹介できる新作映画も無くなってしまいました。その後、開館がOKになった後も、ソーシャルディスタンスで客席を減らしての上映で、今も厳しい状況が続いています。
過去最高の興行収入の記録を打ち立てた2019年。打って変わって、2020年は興収の前年比が4月5月には、96%~98%減という惨状。
ハリウッドではかなりのレイオフや製作中止が出て、NYのブロードウェイでも公演が出来ず、所謂エンターテインメントに携わる人々の現状は惨憺たるものです。
昨年、韓国のポン・ジュノ監督の「パラサイト/半地下の家族」が、第72回カンヌ国際映画祭でパルムドール賞に、第92回アカデミー賞では外国語映画として史上初の作品賞・監督賞など4冠に輝き、映画の新しい時代の到来を予感した矢先のコロナ騒ぎ。
アメリカでの「トロールズ ミュージック★パワー」、日本での又吉直樹原作、行定勲監督の「劇場」のように、劇場公開と同時にオンラインでの配信を始めるなど、新しい公開の模索も始まっています。
オンライン配信の充実と共に、お家でシネマもいいけれど、本来映画は映画館で観られることを前提にして作られているもの。
IMAXフィルムにこだわってクリストファー・ノーラン監督が撮った「TENETテネット」に、久しぶりに沢山のファンが劇場に足を運んだのは、嬉しいニュース。
心に栄養を与えてくれるエンタメの世界。
WITHコロナの時代、みんなでその火を消さない為に・・・、応援しましょうネ!

寄稿は神頼み 沖 正穗

チャンプ会員の皆様こんにちは。コロナ過の中大変ご不便なさってる方それ程でもと言う方、会員皆様の、コロナに負けずの気持ちで明るくお過ごしの事とお喜び申し上げます。過日チャンプ会長山本儀子様より寄稿のご依頼を承け文才も無いのに元来の優柔不断さで断り切れずコロナより怖い思いを致しております。毎日木材相手に此所に穴掘るで、此所で切らしてや、チョット肌キレイに削たるわ、と一人ブツブツ言い乍らの私には文書はキツイ、苦しい、分からへん、ああ~壊れそう。  今日こそはと、管公様、私に文才とやらをお授け下さいと天満宮の方向へ三拝致し、では先ずは沐浴。久しぶりのスーパー銭湯、花博の水春に行き熱波発汗房でタップリと汗かき氷結房で震える程我慢してそのまま岩塩ゲルマ房へ、冷えた体をゆっくり温めウトウトと一睡。  まさのりーまさのりー用意しいや、の声で起きたら此所は船の中、あけぼの丸。大阪駅で両親に見送られ一人で福岡に行き祖母叔母従兄弟と一緒に鹿児島港より一週間、揺られ揺られてやっと来た、星光だけの海上に薄らあれに見えるのが与論島。小舟一艘横付けしたら、俄に船中が賑やかになり、薄暗い漆黒の波に合わせ、はしけに飛び移っていった。気付けや落ちたら死ぬで、大人は脅す。何時もふざけている自分もこれはあかん足が震える肌寒いしあかんダメやと目つぶって手取られた瞬間身体が、ふぁと浮いたああ~俺は死ぬんやと思ったらニンニク臭いおっちゃんに抱えられていた。感謝の言葉も出ず情けない中学一年の冬午前五時。はしけが動き出したが中程で止まってしまった。座礁したとの事、どないなんねんやろう。満ち潮になるまで待つとの事。成る程正解や。懐中電灯で海を照らすと珊瑚礁に色取り取りの魚がいっぱい泳いでいるではないか、キレイすごい見たことのない世界や嬉しさ100%や。茅葺きのあばら家に着き荷物等解き、すぐに帰ってくるからチョト散歩行ってくるわ、と言って6歳下の新吾を連れて海へ直行。あのキレイな海を見たくて嬉しくて、でもなかなかたどり着けない。やっと着いたのが友利湾。砂は珊瑚のかけらで細かく、貝殻も巻き貝ホラ貝など色色拾って歩いていたら新吾が腹が減ったと愚図りだし道に迷うわ泣き出すわ、負ぶって帰るが腹は減るわ汗は出るわフラフラでああ~もうあかんあかんで目が覚めた。道真公は今日も現れませんでした。明日から又新吾と一緒に仕事です

コロナ自粛の幸せと困惑 加納義久

新型コロナ感染者を乗せたクルーズ船が横浜に入港してから徐々に、それまで当たり前だった旅行、ジム通い、趣味の会、各種講習会、グループ飲み会がスケジュールから消えていったことは寂しかった一方、スッキリした気持ちになったのは意外でした。
まず、ジムが閉鎖になって始めた自宅から3キロ圏の夕方のウオーキング。なるべく初めての道を選んで四方八方くまなく歩き、樟葉に住んで50年にしてはじめて、小川や丘陵など地形と社寺や墓地、住宅地との関係の把握ができ、また古い公団住宅の成熟ぶり、住宅地の目を見張る変容、新たな住宅地の誕生など、我が家周辺の進展がうれしく、ここに住んでよかったとの思いが強くなったように思います。
つぎに、休会になった「モデルを呼んでの人物デッサン」、「風景を描く会」(各、月2回)の代わりに自宅での絵画制作です。旅行で写してきた写真を水彩で描きました。3月以降13点になりました。ゆっくり気ままに、旅行を思い出しながら描くのは本当に楽しいものです。今回ほど絵を描く趣味を持ってよかったと思ったことはありません。
また、3月末に生まれた孫の成長をずっと自宅で見守ることができたのも、行事が減ったコロナ期だったからでしょう
コロナによって自宅時間が増え、交通費や時間の節約などよい面が多い一方、困ったのは「モンゴルの住宅と家族についての共同研究」です。昨年現地の先生方との打ち合わせやアンケート調査を終え、昨年暮れから統計分析に取り掛かったものの、エクセルを使っての初めての分析なので、以前勤務していた女子大学に同僚の統計の先生を訪ねて教えを乞い、ほとんどの作業打ち合わせはパソコンで行って完成させたものの、当初予定していた5月のモンゴルでの発表は渡航不能で無理となり、今も予定が立たず困っています。
とはいえ徐々に新しい平常生活へと進んでいます。GO・TO・キャンペーンの次は海外渡航・旅行ですが、それほど先ではないかもしれません。以前よりも地に足がついた良い生き方ができるようになればと思います。

次回チャンプ例会のお知らせ

●本部例会: (未定)
●関西支部例会: 例会&早めの忘年会11/17(火)18:00~
会場: 芦屋川リストランテ・ベリーニ(幹事長田伸一郎)

お問合せはこちら

ZOOM会議に参加する簡単な方法

今回のZOOMでの例会に「難しそうで参加しなかった」という方も多かったと聞いています。しかしホスト(例会では宮尾さん)からの招待メールをパソコンで開けられれば参加するのは簡単です(ZOOMというアプリをダウンロードの必要はありません)。手順を以下に説明します。
① パソコンの正面に座り電源を入れ、ホストからの招待メールを開きます。
② メールの文中に「以下のURLをクリックして下さい」と書いてあるURLを左クリックします。
③ 画面下部の「ブラウザから参加」を左クリックします。
④ 名前を入力し「私はロボットではありません」にチェックを入れて「参加」をクリックします。
⑤ 「コンピューターでオーディオに参加」をクリックします。
以上で参加でき、パソコン上に自分の顔と他の参加者の顔が映り会話もできます。
(これは概略ですが、よくわかっている人に頼んで招待メールをもらい実際に会話をしてみることをお勧めします。)

編集後記

初めての「ZOOM例会」!どうなるかと心配でしたが、多彩なプレゼンテーションが楽しいミーティングになりました。ホストを務めてくださった宮尾さんはZOOM講習会に参加したり、新たな登録をしたり、リハーサルを繰り返したり大変なご苦労で、本当に感謝です。本号の「自粛生活よもやま話2」は首都圏以外の方に寄稿をお願いしました。新しい形の誌面もやっと何とか形になったと思います。まだまだ新型コロナは続くでしょうから皆様ご自愛ください。(中林由行)